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Omagari

ノールツァイのルービックキューブ
ノールツァイのルービックキューブ
ノールツァイのルービックキューブ
ノールツァイのルービックキューブ
ノールツァイのルービックキューブ

種類:個人制作
制作年:2015–16

2015年あたりに、ふとしたことからルービックキューブの解き方を勉強することにしました。YouTube動画などで勉強しながら1週間後、やっと人生で初めて解くことができました。そこからは手際よく素早く解くことを目指したり、様々なバリエーションのパズルを解くようになりました。友達にもこの新しい趣味を披露するうちに、文字がテーマのキューブを作ってみてはと提案されました。

何度かつまらないデザインを試した後、そういえば文字コミュニティにはノールツァイ・キューブという完璧なネタがあるではないかと気付きました。このキューブはオランダ人の書体デザイナー、カリグラファー、教育者のGerrit Noordzij(ヘリット・ノールツァイ)の発案によるもので、彼の1985年の著書『The Stroke: Theory of Writing』に初めて登場しました。文字にパラメータを与えて、その数字によって新しいフォントを得るという画期的なダイアグラムでした。彼の立方体では文字の太さ、線幅のコントラスト、そしてコントラストの適用法の三軸を適用しています(詳細は本を読みましょう。書体デザイナーを目指す方は必読です)。現代ではこのような文字の作り方はとても当たり前となり、ユーザー側でダイナミックに補間できるバリアブルフォントという技術が登場するまでになっています。

このネタを現実化するために、まずShengshouの白い5×5×5キューブを買い、スティッカーをすべて剥がし、ノールツァイのダイアグラムに従って自作したスティッカーを貼り付けました。ハンガリーでキューブ用スティッカーの印刷及び販売をしているOlivér’s Stickersというサイトがあったので、制作はこちらでお願いしました。キューブの仕上がりはとても美しかったですが、完成形から崩して文字があちこちに散らばった方がもっと美しいことに気づきました。もちろん元に戻すにはキューブをバラしたくないので、先に解法を勉強する必要がありました。絵柄をキューブに載せると各マスに向きが加わり、普通の解き方では位置を合わせるだけなので足りません。パズルキューブ界では絵柄付きのものはスーパーキューブと言われるので、私のパズルはカテゴリー的には5×5×5スーパーキューブと呼ばれます(解き方はYouTubeで見つかります)。

その後、いくつかのバリエーションを作りました。

核キューブ:ノールツァイ・キューブは3つのパラメータから構成されるデザイン空間ですが、ルービック・キューブではその表面しか見えません。そこで内側の層である3×3×3と1×1×1のキューブも作りました。1×1×1はすべてのパラメータの平均値となる中核の部分であり、もはやパズルではありません。

逆コントラストキューブ:2013年のTypeConカンファレンスで、David Jonathan Ross(デヴィッド・ジョナサン・ロス)は太線と細線の関係が標準と逆になった書体について講演を行い、その最後にノールツァイ・キューブのコントラスト軸を逆転させたパラレルユニバース・キューブを提案しました。これを作って、ロスにプレゼントしました。

合体キューボイド(直方体):パズルキューブには立方体だけでなく、正四面体や円筒形、長い直方体など様々な形があります。直方体は回すと、まるでバウハウスの建築物のような複雑な形になります。今回作りたかった5×5×9の直方体キューブは市販のものがなかったのですが、幸い個人でデザインした方がいました(CADソフトと3Dプリンターを使ってルービックキューブを設計するという趣味が建築家や製品デザイナー間で存在するようです)。これを設計したGrégoire Pfenning(グレゴワール・プフェニング)※に新規の3Dプリントを依頼し、前述のOlivérにスティッカーを依頼して直方体パズルは完成しました。スティッカーの図柄はノールツアイ・キューブと逆コントラストのキューブを合体させ、中央にコントラスト値がゼロであるサンセリフを据えたものです。今回は黒地に白字としたことで、各文字が夜空に輝く星のようにしました。詳細はGrégoireのYouTube動画でご覧いただけます。このパズルも解いてみようと8時間頑張ったのですが、どうも途中から先に進めません。私の知識では無理のようです。

※Grégoireは31×31×31のルービックキューブを作って、最もマスの多いキューブの世界記録を保持しています。