Toshi
Omagari

そうだ、ATypI香港に行こう。

2012年08月17日


ATypIというカンファレンスをご存知でしょうか。というかそもそもカンファレンスって何?と思われてる方もいるかもしれません。「知ってるよ!」とか「今年行くよ!」という方はさておき、今回はATypIとは何かという話をしようかと思います。

ATypIは国際タイポグラフィ協会(Association Typographique Internationale)という団体の名前で、タイポグラフィ業界では最大のグループです。当初は書体の盗作の横行に対処すべく打ち立てられた団体ではありますが、毎年10月に欧米のどこかで開かれるカンファレンスを中心にタイポグラフィの様々な話題を取り上げて意見交換をする場でもあります(通常時はメーリングリストにて)。

目玉となるATypIカンファレンスですが、これにはMicrosoftやMonotype、Adobe、FontShopなどの書体会社やタイポグラフィに関わりのある企業から、大学の教授や学生、個人のデザイナーまで垣根なく幅広く集まり、プレゼンテーションをしたり見たり飽きて外で談笑したり、TDC受賞作品の展示を見たりする場所です(TDCつっても日本のじゃないよ!)。たとえば去年はアイスランドの首都レイキャビクで行われましたが、その様子が動画でご覧いただけます。

(Day1から5までの全部の動画はこちら)

いかがでしょうか?こんなに沢山の人集りが右も左も文字好きばかりって最高でしょう?行きたいと思いませんか?上にも書いたように通常は欧米でしか行われないカンファレンスなんですが、今回はなんと初めて香港で開催されるのです!行けますよ!映像を見てお分かりの通り、ほとんどの参加者が欧米の方で、当然みんな英語で会話します。これについては壁だと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。その理由は2つあります。

まず、今回は日本の参加者が非常に多いということです。例年だと1〜4人ですが、今回は場所が場所だけに、プレゼンテーションやワークショップなどを合わせた全75のプログラムのうち、実に12個が日本人によるものです(分かっているだけでも20人ほどの日本人講演者がいるようです)。日本のタイポグラフィ界(特に書体関連)からこれだけの人が一堂に会するのも凄いことですので、そこの輪に入るというだけでも十分に魅力のあるものです。なので英語が話せなくても、日本人参加者の皆さんとお話しするだけでも楽しめるのではないでしょうか。

もう一つは、「分からなくてもいいから来い!」ということ。まず第一にタイポグラフィはビジュアルでメシを食う業界ですから、プレゼンテーションなんか英語が分からなくても見てるだけでものすごく勉強になるものです。あとは「英語ができないということがいかにつまらない障害であるか」ということに気付く良い機会でもあります。ATypIの国際性の高さから、集まる人の多くはネイティブスピーカーではありません。それでもみんな当然英語でやり取りをしてタイポグラフィについて話をしています。英語ができなければタイポグラフィができないとは言いませんが、こういう場で英語ができないとなかなか悔しい思いをするものです。こういう経験が英語の勉強する良いきっかけになるのではないでしょうか。

とかなんとか煽ってはみましたが、参加者の積極性によっては「いるだけ」になるかもしれないことは忠告しておきます。参加したからには誰でもいいので積極的に話しかけ、作品を持ってたら見せ、通訳が欲しければ僕を呼んでください。さもなければ往来を眺めながらオロオロするだけになるかもしれません。それでも十分楽しめるとは思いますが。

開催は10月の10日から14日の五日間と、完全に平日が入っちゃってるスケジュールではあります。しかしもし参加したければ上司なり先生なりに無理を言って参加すべきではないでしょうか。ここまで濃密に幅広くタイポグラフィに浸れる経験は日本だとほぼありません。普通の平日を過ごすことはいつでも出来るんですから、この千載一遇の機会をぜひとも検討してみては?ついでに香港観光もできますしね。

気になった方は以下のPDFに参加の仕方や具体的なイベントの内容を書いておりますのでご覧ください。

ATypI Hong Kong